高齢者が椅子から立ち上がりにくい理由|自宅でできる運動サポート

「最近、親が椅子から立ち上がるときに手をつくようになった」
「ソファから立ち上がるのに時間がかかっている」
「足腰が弱ってきたのではないかと心配」

高齢の親御さまの様子を見て、このように感じる40代・50代の方も多いのではないでしょうか。

椅子から立ち上がる動作は、日常生活の中で何度も行う基本的な動きです。

一見簡単そうに見えますが、実際には下半身の筋力、バランス、股関節や足首の動き、姿勢の使い方などが関係しています。

立ち上がりにくさを感じるようになると、外出や家事、トイレ、入浴など、生活のさまざまな場面に不安が出てくる場合があります。

この記事では、高齢者が椅子から立ち上がりにくくなる背景や、家族が確認したいポイント、自宅でできる運動サポートについて解説します。

椅子から立ち上がる動作には足腰の力が必要

椅子から立ち上がるときは、太もも、お尻、ふくらはぎ、体幹まわりの筋肉が使われます。

座った姿勢から身体を前に傾け、足で床を押しながら体重を持ち上げる必要があります。

そのため、下半身の筋力やバランス能力が低下すると、立ち上がる動作が以前より大変に感じやすくなります。

特に、次のような様子がある場合は、足腰の力や身体の使い方に変化が出ている可能性があります。

  • 椅子の肘掛けやテーブルに手をついて立ち上がる
  • 立ち上がるまでに時間がかかる
  • 反動をつけて立ち上がる
  • 立ち上がった直後にふらつく
  • 低いソファから立ち上がるのを嫌がる
  • 立ち上がる回数を減らしている

ただし、立ち上がりにくさの原因は一つとは限りません。

筋力だけでなく、痛み、関節の動きにくさ、体調、生活環境なども関係するため、様子をよく確認することが大切です。

高齢者が立ち上がりにくくなる背景

高齢になると、体力や筋力、柔軟性、バランス能力などに個人差が出やすくなります。

その中で、椅子からの立ち上がりにくさにつながりやすい要素には、次のようなものがあります。

下半身の筋力低下

椅子から立ち上がるときには、太ももやお尻の筋肉が大きく関係します。

これらの筋力が低下すると、座った状態から身体を持ち上げることが大変になりやすくなります。

「歩くことはできるけれど、低い椅子から立つのが苦手」という方もいます。

これは、歩行と立ち上がりでは必要な力の出し方が異なるためです。

股関節や足首の動きにくさ

立ち上がるときは、身体を前に傾けたり、足首を曲げたりする動きが必要です。

股関節や足首まわりが動きにくくなると、体重を足に乗せにくくなり、立ち上がりが不安定になる場合があります。

その結果、手すりや家具に頼る動作が増えることがあります。

バランスへの不安

立ち上がった直後にふらつく感覚があると、本人は無意識に立ち上がる動作を避けるようになることがあります。

「転びそうで怖い」という不安があると、動作が慎重になり、さらに身体を動かす機会が減ってしまう場合もあります。

椅子や生活環境の影響

椅子の高さや座面の柔らかさも、立ち上がりやすさに関係します。

低すぎる椅子や沈み込みやすいソファは、立ち上がるときに大きな力が必要になります。

また、足元に物が多い、床が滑りやすい、手をつく場所が不安定といった環境も、立ち上がりの不安につながることがあります。

家族が確認したいポイント

親御さまが椅子から立ち上がりにくそうにしている場合、まずは責めたり急かしたりせず、どのような場面で困っているのかを確認しましょう。

確認したいポイントは次の通りです。

  • どの椅子から立ち上がりにくいのか
  • 立ち上がるときに痛みがあるのか
  • 立ち上がった後にふらつきがあるのか
  • 最近、外出や家事の回数が減っていないか
  • 低いソファや床からの立ち上がりを避けていないか
  • トイレや浴室で不安を感じていないか
  • 転びそうになった経験がないか

本人が「大丈夫」と言っていても、実際には不安を感じている場合があります。

「立つときにどこが大変?」
「手すりがあった方が安心?」
「最近、立ち上がるときに痛みはない?」

このように、身体の変化を否定せず、本人の感じていることを聞く形で声をかけると話しやすくなります。

運動を始める前に注意したい症状

椅子から立ち上がりにくいからといって、すぐに筋力トレーニングを始めればよいとは限りません。

次のような症状がある場合は、自己判断で運動を始めず、医療機関へ相談してください。

  • 急に強い痛みが出た
  • 膝や股関節に腫れや熱感がある
  • しびれや力の入りにくさがある
  • 転倒後から痛みが続いている
  • 立ち上がるとめまいやふらつきが強い
  • 息苦しさや胸の痛みがある
  • 医師から運動を制限されている
  • 持病の状態に不安がある

出張パーソナルトレーニングは医療行為ではありません。

治療や診断が必要な状態では、まず医療機関で確認し、必要に応じて医師の指示を受けたうえで運動を始めることが大切です。

自宅でできる立ち上がり動作のための運動

立ち上がり動作を楽にするためには、下半身の筋力だけでなく、股関節や足首の動き、バランスなどを組み合わせて整えることが大切です。

自宅で行う場合は、安全に配慮しながら、無理のない範囲で始めましょう。

椅子からの立ち上がり運動

実際の立ち上がり動作に近い運動です。

安定した椅子に座り、足を床につけ、ゆっくり立ち上がります。

最初は手を軽く使っても構いません。

慣れてきたら、できる範囲で手の力に頼りすぎないようにしていきます。

ただし、痛みやふらつきがある場合は無理に行わないようにしましょう。

かかとの上げ下げ

ふくらはぎの筋肉は、立つ、歩く、バランスを保つ動作に関係します。

壁や椅子につかまれる場所で、かかとをゆっくり上げ下げします。

不安定な場合は、必ず支えのある場所で行いましょう。

股関節まわりを動かす運動

股関節まわりが動きにくいと、立ち上がるときに身体を前に傾けにくくなる場合があります。

椅子に座った状態で、片足ずつ軽く膝を持ち上げる、足を少し横に開くなど、無理のない範囲で股関節まわりを動かします。

痛みが出る動きは避けましょう。

足踏みや重心移動

立ち上がった後のふらつきが気になる場合は、バランスを確認する運動も大切です。

壁や椅子につかまれる場所で、その場で足踏みをしたり、左右にゆっくり体重を移したりします。

不安定な姿勢を無理に取る必要はありません。

安全に行える範囲で、身体の使い方を確認することが大切です。

家の中の環境も見直す

立ち上がりやすさには、身体の状態だけでなく、椅子や部屋の環境も関係します。

家族が確認できるポイントは次の通りです。

  • 椅子が低すぎないか
  • ソファが柔らかすぎて沈み込まないか
  • 座面が滑りやすくないか
  • 足元に物が置かれていないか
  • 立ち上がった先に障害物がないか
  • 手をつく場所が安定しているか
  • 夜間の移動時に足元が暗くないか

特に、低いソファや柔らかい座面は、立ち上がるときの負担が大きくなりやすいです。

椅子の高さを見直す、足元を片付ける、滑りやすい敷物を避けるなど、できることから整えていきましょう。

家族がサポートするときの声かけ

親御さまの立ち上がりにくさが気になると、家族としては「もっと運動した方がいい」と伝えたくなるかもしれません。

しかし、本人が不安や恥ずかしさを感じている場合、強く言いすぎると運動に抵抗を持ってしまうことがあります。

声をかけるときは、不安をあおるよりも、本人が続けたい生活に結びつけることがおすすめです。

例えば、次のような伝え方です。

  • これからも買い物に行きやすいように
  • トイレやお風呂で安心して動けるように
  • 旅行や外出を楽しめるように
  • 家の中を楽に移動できるように
  • できるだけ自分のことを自分で続けられるように

運動そのものを目的にするのではなく、本人の生活を支えるための方法として伝えると、前向きに受け入れやすくなります。

出張パーソナルトレーニングでできるサポート

椅子からの立ち上がりにくさがある場合、自己流で運動を進めることに不安を感じる方もいます。

出張パーソナルトレーニングでは、トレーナーがご自宅へ伺い、現在のお身体の状態や生活環境を確認しながら、無理のない運動内容をご提案します。

Longevity Conditioningでは、立ち上がり動作や歩行、姿勢、下半身の筋力、バランスなどを確認しながら、その方に合った内容で進めます。

例えば、次のような内容を組み合わせます。

  • 姿勢や立ち方の確認
  • 椅子からの立ち上がり動作の確認
  • 下半身の筋力トレーニング
  • 股関節や足首まわりの運動
  • バランス運動
  • 歩行や方向転換に関わる動き
  • 自宅で続けやすい運動の提案

ご自宅で行うため、普段使っている椅子や生活動線に合わせて、日常生活に近い動きを確認しやすいことも特徴です。

また、ご家族が同席できる場合は、運動内容や身体の状態を一緒に確認できます。

離れて暮らしているご家族の場合も、本人の同意を得たうえで、運動の方針や様子を共有することが可能です。

まとめ

高齢者が椅子から立ち上がりにくくなる背景には、下半身の筋力低下、股関節や足首の動きにくさ、バランスへの不安、椅子や生活環境などが関係している場合があります。

立ち上がり動作は、日常生活に直結する大切な動きです。

無理に強い運動を行うのではなく、現在の身体の状態に合わせて、できる範囲から少しずつ身体を動かすことが大切です。

また、椅子の高さや足元の環境を見直すだけでも、立ち上がりやすさや安心感につながる場合があります。

強い痛みやしびれ、めまい、転倒後の痛みなどがある場合は、自己判断で運動を始めず、医療機関へ相談してください。

高齢の親御さまの立ち上がりにくさが気になる方や、自宅で安全に配慮しながら運動を始めたい方は、体験トレーニングで現在のお身体の状態を確認しながら、適した進め方をご相談いただけます。

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参考資料

厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」

厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023 高齢者版」

厚生労働省 e-ヘルスネット「レジスタンス運動」