高齢者の転倒リスクと予防運動|骨折や頭部のけがに備える身体づくり

「最近、親が歩いているときにふらつくようになった」

「小さな段差につまずくことが増えて心配」

高齢になると、転倒は単なる「転んだ」で終わらないことがあります。

特に骨粗鬆症などで骨が弱くなっている場合は、立った状態からの転倒でも骨折につながることがあります。実際、「骨折・転倒」は高齢者が介護を必要とする主な原因の一つです。

転倒を完全に防ぐことはできませんが、ふらついたときに身体を立て直す力、つまずいたときに一歩を出す力、姿勢を支える力を保つことは、転倒リスクに備えるうえで重要です。

高齢者の転倒で注意したい骨折と頭部のけが

年齢を重ねると、筋力やバランス能力の低下だけでなく、服薬、視力、認知機能、住環境など複数の要因が転倒に関係します。

転倒によって大腿骨などを骨折すると、入院や手術、リハビリが必要になることがあり、それまでの生活機能が低下するきっかけにもなります。

また、転びそうになった際には、とっさに一歩を踏み出したり、腕を使って身体を支えたりする反応が必要です。

高齢者では、こうした反応が十分に間に合わず、頭部を打つ場合もあります。実際の高齢者の転倒映像を分析した研究でも、頭部のけがや上肢による保護反応について報告されています。

転倒予防では「筋力+バランス」が大切

転倒予防というと、「脚の筋肉をつければよい」と考えがちです。

しかし実際には、筋力だけでなく、バランス、歩行、素早く姿勢を立て直す能力などを組み合わせることが重要です。

厚生労働省も、高齢者には筋力トレーニングだけでなく、バランス運動などを組み合わせた多要素な運動を推奨しています。こうした運動は転倒・骨折の減少や身体機能の維持・向上につながることが示されています。

歩けるのに階段が上りにくくなった場合は、

歩くスピードが遅くなったと感じたら、

椅子から立ち上がりにくくなった場合は、

も参考にしてください。

転倒に備えて鍛えたい身体の働き

中殿筋|歩行中の骨盤と左右のバランスを支える

中殿筋は、お尻の横にある筋肉です。

歩くときに片脚で身体を支え、骨盤が大きく左右へ崩れないように働きます。

高齢者では、股関節外転筋の筋力と転倒リスクとの関連が報告されており、歩行時の左右の安定性を保つうえでも重要な部分です。

腸腰筋などの股関節屈筋|脚を前へ運ぶ

腸腰筋を含む股関節屈筋群は、歩行時に脚を前へ振り出す動作に関わります。

脚を十分に前へ運び、つま先を床から離すことは、段差などへのつまずきを減らすためにも重要です。

研究でも、股関節屈筋の筋力やパワーと高齢者の移動能力・転倒との関連が報告されています。

腹横筋などの体幹筋|不安定な姿勢でも身体を支える

歩いている途中で方向を変える、段差をまたぐ、少しバランスを崩す。

こうした場面では、脚だけでなく体幹を安定させる力も必要です。

腹横筋を含む体幹筋は、身体の中心部を支える役割があります。高齢者を対象とした研究でも、体幹トレーニングとバランス能力との関連が報告されています。

上肢・肩甲帯|転倒時に身体を支える反応にも関わる

実際にバランスを崩したときには、脚だけでなく腕も使います。

手を伸ばす、何かにつかまる、上半身を支えるといった反応には、肩や腕、前鋸筋を含む肩甲帯周辺の筋力と動きが関わります。

ただし、前鋸筋だけを鍛えれば頭部を守れるという意味ではありません。 転倒時の保護反応には、反応速度、肩・肘・手首の働き、体幹、状況判断など多くの要素が関係します。

特別なトレーニングマシンがなくても身体は鍛えられる

転倒に備える身体づくりに、大型のトレーニングマシンが必ず必要なわけではありません。

椅子からの立ち上がり、支持物を使った片脚動作、ゴムバンド、自分の体重を利用した運動などでも、筋力やバランスを鍛えることはできます。

厚生労働省も、自分の体重を負荷として利用するスクワットなどを筋力トレーニングとして挙げています。

大切なのは、「何kg持ち上げられるか」だけではなく、自分の身体を自分で支え、動かし、バランスを立て直せることです。

出張パーソナルトレーニングなら自宅で安全に配慮しながら進められる

高齢者の場合、トレーニングのためにジムへ移動すること自体が負担になることがあります。

出張パーソナルトレーニングなら、普段生活しているご自宅で、現在の歩き方、立ち上がり、筋力、バランスなどを確認しながら運動できます。

Longevity Conditioningでは、その方の身体の状態に合わせて、

  • 下半身の筋力
  • 股関節の安定性
  • 体幹
  • 上半身
  • バランス能力

などを組み合わせ、偏りのない身体づくりを行います。

特別なマシンに頼るのではなく、日常生活の中で自分の身体を安全に扱うための基礎をつくることを大切にしています。

自宅で運動を始める際のメリットについては、

でも詳しく紹介しています。

運動より先に医療機関へ相談したいケース

次のような場合は、トレーニングより先に医療機関へ相談してください。

  • 転倒後から痛みが続いている
  • 強い痛み、腫れ、熱感がある
  • 急に歩けなくなった
  • 片側の手足に力が入りにくい、しびれがある
  • 強いめまいやふらつきがある
  • 胸の痛みや強い息苦しさがある
  • 急激に歩行能力や筋力が低下した

高齢者では服薬が転倒リスクに関係する場合もあります。転倒が急に増えた場合には、運動だけで解決しようとせず、医師や薬剤師への相談も必要です。

出張パーソナルトレーニングは、病気やけがの診断・治療を行う医療行為ではありません。

まとめ

高齢者の転倒予防では、単に脚を鍛えるだけではなく、

歩行中に骨盤を支える力
脚を素早く動かす力
不安定な姿勢で体幹を支える力
バランスを崩したときに反応する力

を総合的に保つことが大切です。

ご自宅でも、身体の状態に合わせれば十分に筋力やバランスをトレーニングできます。

長く自分の足で生活を続けるために、安心できる環境で、今の身体に合った運動から始めてみましょう。

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参考資料

  • 厚生労働省 e-ヘルスネット「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023 高齢者版」
  • 厚生労働省 e-ヘルスネット「筋力トレーニングについて」
  • 国立長寿医療研究センター「リハビリテーション科 研究概要」
  • Montero-Odasso M, et al. Risk Assessment and Prevention of Falls in Older Community-Dwelling Adults. JAMA. 2024.
  • Robinovitch SN, et al. 高齢者の実際の転倒時における保護反応に関する研究